さて今回は、これをすると起業失敗!〜保育事業の起業で失敗する確率が高まること8選〜というテーマになります。

本ブログ(著者・杉江)の具体的な信頼性は以下になります。

  • 保育士を取得後、20年以上にわたり保育事業に従事している。
  • 民間学童保育を創業し、5年間経営者として事業に携わる。(アフタースクール寺子屋 目黒区碑文谷3-1-4-16)
  • 民間学童経営者として、5年間で登録者数2名→100名、通期黒字化を達成する

現在将来が見えない状況が続く中で、サラリーマンの方で起業をされたいという方や、いつか保育に関わる事業を起業したいという方もいらっしゃるかと思います。
私自身も約7年前に民間学童保育を起業しまして、ある程度軌道に乗せることができたという経験があります。

そして今その経営者時代を振り返ると沢山の失敗をした経験があり、

「初めからもっとこうしておけばよかった…」

という事が多々あります。

そうした実体験をベースに、保育の分野で起業したい方へ、私のような失敗をして欲しくないと思い、失敗に関する個人的な考察を今回のブログを書きました。

参考にしてもらえましたらと思います。

社会貢献という意識が強すぎる【保育をビジネスとして捉えないと負けます】

 

まずこちらは全般的に陥りやすい失敗かと想像します。

保育=社会貢献という思いが強過ぎ、自分は社会の役に立つ素晴らしい事をしていくのだ、と考え過ぎると、失敗の可能性がどんどん高まっていきます。

もちろんそう言った意識は大切で、その事をモチベーションに起業・経営をする事は非常に大切ですが、思い過ぎは禁物。

特に創業直後に関しては、

・赤字を減らし利益を残す事

・常にリスクを潰していき運営を安定させる事

に注力する事が重要だと思います。

保育であろうとなんだろうと、事業や会社経営はビジネスです。まずはその部分を頭の真ん中に置いて経営を行う様に下さい。

その上で、まずは倒産せずに長く地域で施設を運営していく事を目指し、達成して行ってください。
その事自体が立派な社会への貢献です。

もっと大きなインパクトの社会貢献は、事業が成功し十分な利益を出した後で、その利益の中から行いましょう。

すぐに儲かると考える【保育事業はすぐには儲かりません】

 

これは保育だけの話ではないかもしれませんが、どんなビジネスもすぐに儲かることはありません。

ですので、特に最初のうちは経営的には厳しい状況が続く事が予想されます。

特に保育という事業は思いが先に立ち、収益性をきちんと詰めずに動き出してしまう場合も多いでしょう。
また、「売り上げは税金から来るんでしょ?」と、税金を頼りにするために、予測が甘くなっている方もいるかもしれません。

また別に「民間」保育施設の場合は、毎年4月の新学期に、利用者の大きな減少があるリスクがあります。
とにかくすぐに儲かるという様な安易な考えは捨て、苦しくとも長期的視点を持って経営を行って頂きたいと思います。

ちなみに私も学童保育歴16年をひっさげての創業でしたので、開業前は自信満々でした。
すぐに成功するだろうとたかをくくり、私の鼻は伸び放題。

しかし蓋をあけてみたら……伸びた鼻はボキボキに折られました。

本当に甘くはなかったです。

集客の厳しさを理解していない【特に保育業界出身者の方へ。集客業務は本当に厳しいです】

 

この「集客」の部分を甘くみながらスタートすると、かなりの確率で保育事業は失敗すると思います。
これは、私が失敗した部分のお話です。

創業前、私は集客という業務の経験がなく、非常に甘く見ていました。
内容が素晴らしければ、自然とお客様は集まってくれるだろうと。

しかし現実は、そんなに甘いものではありませんでした。

そこで途中で心を入れ替えた私は、民間保育施設経営者として7年間で、約120名もの会員様を「集客」する事ができました。
スタート時は2名だった事を考えると、約60倍。
言葉だけで言うと非常にスマートに見えますが、それはそれは地べたを這う様な地味な作業の繰り返しを行った結果です。
ではその内容の具体的な話をしていきたいと思います。

具体的には、

・周辺地域へのポスティング

・駅でのビラ配り

・入会説明会の開催(毎週金曜日と毎月最終日曜日)

・近隣の保育園・幼稚園への営業

・見学・体験会(平日随時、見学者への説明等の対応)

・近隣の小学校前でのビラ配り

・入会イベント(年に数回、土日のどこかで)

※その他、毎日の保育サービスの質の向上。絶対に手を抜かないサービスの提供を全員で実行。

以上を約7年間、毎日いずれかを必ず行なっていました。
上記の事は、基本的には私が中心となりほぼ一人で行なっていました。
本当に厳しい思いを毎日していました。

民間保育施設の経営の場合、他のサービス業同様「集客」に命をかけなくてはならないのだとわかったのは創業後数年経った後。
ですので民間施設をお考えの皆さんは、創業前にはその覚悟は必ず持ってください。

では認可保育園など自治体からの委託や認可を受けて運営する場合はどうかという事ですが、現在は集客作業は必要ない場合が多いです。

しかしそれは自治体が代わりに、集客を行なってくれているから。今後はどうなるかはわかりません。

急速な少子化が進んでいる事は事実なので、それはすなわち保育事業の利用者、お客さんが減っていると言う事です。
ですので個人的にはこれから、保育園の淘汰が始まっていくと考えます。
そうなるとお客さんが保育園を選ぶ時代となり、お客さんを奪い合う、集客業務が発生してくるという風に考えるのが自然です。

以上のことを、頭の片隅に置いておいてもらえましたらと思います。

集客について詳しくは、過去のブログ

民間学童保育の集客方法について

をご覧ください。

保育士という職業に抱く幻想【保育士は職人。保育園は職人の集まりです】

 

一般の皆さんがどう思っているかは正直わからないのですが、保育士と聞いてどういったイメージをお持ちでしょうか?

・基本優しい人?

・ほんわかしたイメージ?

・何をしても許してくれる?

・まさに現代の天使か?

などなど、特に男性の皆さんはこうした作られたイメージをお持ちの方がもしかしたらいるかもしれません。

私は、この部分のイメージを間違えたまま事業を始めると失敗の確率が高まるのではと考えます。

では業界23年の私から、保育士先生達がどう見えているのかと言うと

『ザ・職人』

というイメージです。

ですので、【ほんわかした天使】というよりは、

【工事現場や工場で働く職人】というイメージです。

しかも自分の強い信念を持つ、頑固一徹な職人達です。
保育事業の経営とは、そのこだわりのある職人集団を束ねていく覚悟を持たなければなりません。

もちろん保育士の先生方は、子ども達には優しい先生方が多いです。
しかし仕事に対してはこだわりがありストイックな方が多いので、下手な経営をしていると厳しい目が経営者に向けられます。
常に寄り添い、職人である保育士先生達が力を発揮しやすい様、常に気を配る必要があります。

私も経営者時代は、パシリでも修理・修繕でも何でもしていて、何でも屋という気持ちで毎日の経営にあたっていました。
「すみません、〇〇がなくてすぐに使うので、買ってきてください!」
と、一回り歳が違うの従業員から頼まれることなど日常茶飯事。

「わかりました!買ってきます!」
とよくパシリに行ったものです。

チャレンジされる方は、ぜひその事を頭の片隅に置いて下さい。

女性中心のチームのマネジメントへの準備不足【女性中心のチームで結果を出す為の努力を怠らないで下さい】

 

上記のことにも繋がってきますが、保育事業は一般的には、「女性中心」の職人集団(チーム)である事を絶対に頭に入れておかなくてはなりません。

そこには男性のチームとは全く違うマネジメントが必要となってくる事は理解をして下さい。

私は約12年間管理職から経営者まで、保育事業でのマネジメントを行ってきました。
その経験から、女性中心のチームマネジメントで大切な事はいくつも考え実践してきましたが、私が一番大切だと思う事をお話しします。

それは、

【平等】

 

です。

まずここが崩れると、女性中心のチームマネジメントは絶対にうまくいかないと個人的には確信しています。

毎日の挨拶から日々の対応、何かちょっとしたものをプレゼントしたり、褒める・指導するポイントまで、絶対に平等という事を忘れてはなりません。

これが、マネジメントの基本になります。

その他にも、

・清潔感(髪型、服装、匂い、鼻毛、ひげ等)

・気分の上下を少なく、大きく構える

・一緒に考えていく等、常に寄り添う姿勢

・理屈ではなく、気持ちを一番に対応をする

などが、経験上非常に大切であると考えます。

もちろん一番は、女性でも男性でも、「あなたが大切だ」という気持ちを常に全従業員に発信し続ける事。
その上で、上記の事を参考にマネジメントして頂けたらと思います。

役所との付き合い方を理解していない【保育事業は役所との付き合いが多く占めます。民間の価値観は通用しません】

 

保育事業の多くは、基本的に売上のほとんどを税金から頂く、公的な側面が強い事業です。(無認可保育施設を除く)

ですので結果的に、役所との付き合いが多くなってくる事業となります。

認可保育園を開設する際は、その設置自治体に申請をし、認可をとります。
認可が取れた後も、設置基準などは自治体や国に準じながら行うことになるなど、基本的は役所との付き合いが中心となってくる事業ということが言えるかと思います。

しかし、ここで忘れてはならない事があります。

それは、役所には民間の感覚が通用しないという事です。

例えば前例主義。

役所は基本的に、前例があるものを好み前例が無いものを導入する事を嫌います。
ですので事業をし初めで保育園の認可がおりることが非常に難しかったり、何か新しい事をしたいと思ったとしても、許可が出ずらかったりします。

また、スピード感においても、非常に遅い事が多いです。
基本的は大きくて古い組織になりますので、決済者が多く、なかなか返事がもらえなかったり決裁を頂けない事も出てくるかと思います。

民間企業しか勤めていない方がいたら大きく戸惑う部分になってくるかと思いますが、上記の事を頭に入れ待つときは気長に待ちながら、自治体の担当の方と仲の良い関係性を築いて行って頂きたいと思います。

逆に軌道に乗ると下請けの意識が強くなる【補助金をもらう事に慣れすぎると経営が甘くなります】

 

これも、私自身非常に心配をしている部分です。
ある程度事業が軌道に乗ると、保育園の認可や学童の運営委託の受託が非常にしやすくなってきます。
自治体の方から、逆にオファーを頂くことも出てきたりする場合も。

何度もいいますが、認可や運営委託を受けますと公の施設と同じ状態になりますので、大きな宣伝をせずにある程度の売り上げが見込める状況になります。

会社経営者からすると、この状態は本当に助かる。
気持ち的にも負担はかなり減ってきます。

しかしその世界にハマりすぎると、経営が甘くなるのでは……と想像してしまいます。

つまり、自治体からの下請けの構造に慣れすぎてしまい、民間企業(法人)としての成長が出来にくい状況になってしまうのではないか?

この様に想像をしています。

自治体から信頼され、認可や受託されるという事は、素晴らしい事です。
しかしそのようになったとしても、保育サービスを提供する事業者として、成長していくマインドは忘れてはいけないと考えます。

番外編…家族を説得しないで始める/友人同士で起業する【家族は一番の応援団になってもらう。友人は失う覚悟を持つ】

 

最後に番外編です。

これらは保育事業に限らず起業全般で私が個人的に、やると失敗する確率が高いのではと思う事です。

順番に説明します。

・家族を説得しないで始める

起業をする際、よく聞く話ですね。

まず起業という人生の新たなチャレンジをするときに、ご自身に家族がいた場合には、絶対に家族を説得してから始めて下さい。
できれば、応援される形で始める事をお勧めします。

事業というのは山あり谷ありです。
特に起業したてのフェーズでは、ほぼ谷になります。

その時に、少なくとも応援をしてもらえる状況でないと、その谷を乗り切る事は非常に難しくなってくると考えます。
それだけではなく、当たり前ですが、起業というのはメンタル的にも厳しい状況が続きます。
その部分を支えてもらえる様な、そんな関係性でありたいものです。

「どうせ話をしても反対されるのでは・・・?」

…その位の覚悟でしたら、起業は止めた方がいいと思います。
反対されたり納得をしてもらえないのではあれば、何度も何度も話をして下さい。

一番身近な家族すら説得できないくらいであれば、その事業は成功しない。
そのくらいの覚悟でお話をしていただく事をお勧めします。

・友人同士で起業する

これもよく話を聞く事だと思います。
そして実際こうしたパターンでの起業は多いと思いますし、成功されている方々もいらっしゃいます。

しかし、私はこのパターンに反対します。
その理由は「友人を失う確率が高い」と考えるからです。

友人同士で起業。
気心が知れていますし、困難に陥った時にはお互いに励まし合っていけると想像できます。
揉めるはずがない、そうお思いの方もいるかと思います。

しかし揉めるのは、うまくいき出した時です。

うまく行きだすと、まずその功績は自分だという思いが強くなってきます。
そして、報酬のことに関してや自社の方針に関して、思いがぶつかってくるのです。

そしてそのままお互いに非難し合い、気持ちは平行線のまま…
そのまま廃業と共に友人を失うというパターンは本当によく聞きます。

ですので私自身も、友人と同じ組織に入っての事業はやらずにきましたし、相談があっても無料で行ってきました。
もしどうしても友人と事業を行いたい場合は、私はお互いに会社や個人事業主の代表となり、業務提携などで一緒に行っていく事をお勧めします。
もちろんその際は、入念な契約書作成を行なって下さい。
そして、友人を失うかもしれない覚悟を持つことも忘れずに。

以上、番外編でした。

私自身も保育事業の起業・経営経験者として、本当に沢山の失敗をしてきました。
ですのでこれから起業をお考えの方には、なるべく要らぬ失敗をしてもらいたくないのです。

「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」

という事で今回はやると失敗するのでは?という事をたくさん書きました。

参考にして頂けましたらと思います。

保育事業の起業は、本当に夢がありますし、やりがいもあります。
皆さんの事業の成功をお祈りしています!

※民間学童保育の起業に関しては、過去のブログ、民間学童保育の開業(開設)をご覧ください!