保育コンサルタントの杉江です。

さて今回は、

【保育業界で生き残る経営】開業後の『民間学童保育』が生き残るためにやるべき具体的なこと7選 

のテーマで皆さんにお伝えをしたいと思います。

本ブログ(著者・杉江)の具体的な信頼性は以下になります。

  • 保育士を取得後、25年以上にわたり保育事業に従事している。
  • 民間学童保育を創業し、5年間経営者として事業に携わる。(アフタースクール寺子屋 東京都目黒区)
  • 民間学童経営者として、5年間で登録者数2名→100名、通期黒字化を達成する
  • 保育コンサルタントとして、6年で60件以上のコンサルティング/アドバイザー/研修講師を務める

学童に限らずですが、商売をしていれば今後の生き残りについて毎日向き合わなくてはならない命題だと思います。

今回、【保育業界で生き残る経営・民間学童保育】について私なりの考察を書きたいと思います。

【結論】お客様に選ばれる学童保育になる

結論ですが、タイトルの通り、お客様に選ばれる学童になるということです。
本当に当たり前のことなのですが、これができていない方が多いのではないでしょうか?

現在、元々進んでいた少子化がさらに進んでしまった状況です。
現時点で、2023年は80万人を割るという試算が出ています。

これからの時代は、学童に限らず、認可保育所でさえ利用者が選ぶ時代へと既に入っています。
一部の都市部では待機児童はまだまだいるという地域もあるかもしれませんが、今後はそのような時代に入っていくという認識で間違いないかと思います。

繰り返しになりますが、これからは利用者が保育施設を選ぶ時代です。
今までと同じ事をやっていたら、必ず落ちていきます。
改めてこれからも選ばれる学童保育となるために、今やるべきことをここで確認して頂き、今後の経営に活かして頂けましたらと思います。

【やるべきこと①】現状の分析・理解

起業前の方はやられているかと思いますが、既に起業されている方も、一度立ち止まって自社の現状の分析を行ってみましょう。

・現状の立ち位置(業界全体・地域)
・経営状態の把握
・自社の強み・弱みの理解
・地域の他社の状況(学童保育に限らず、学習塾、習い事施設の現状)

など、しっかりと振り返り、理解をすることが重要です。

闇雲に色々なことをやっていても無駄になることがほとんどです。
今後のことを考えるためには、まずは自社の理解を行い、対策を行っていきましょう。

【やるべきこと②】日々の対応の見直しと強化(保育・保護者対応)

ということで、ここからは具体的なやるべきことについて私の考えを述べていきます。

まずは保育の基本に立ち返るということで、保育者の保育の仕方、保護者対応について、高いレベルで供給されているかをしっかりとみていく必要があるかと思います。
特に事業開始し数年経っていき、ある程度の児童数が確保されていくと、悪い意味で「慣れ」が生まれてきます。

そうなると、現場での危機感や向上心というものが薄くなり、次第に「なあなあ」の対応が増えていく可能性があります。
入所を検討している保護者の方々は、そこのとを敏感にキャッチします。

それは当たり前です。

大切なご自身のお子様を放課後の長い時間預けようとしているのですから、ご自身のお子様はもちろん保護者自身も大切にしてくれるかを高いハードルでみています。
そのハードルに応えられる高いレベルの対応が求められると個人的には思います。

ではどのように従業員に伝えていけばよいでしょうか?

「いつも高いレベルで、丁寧に対応しなさい」と言い続ければ、それでうまくいくでしょうか?

以下に、私が経営者時代に行っていたことをお伝えします。

①会社としてのミッションや事業の社会的意義をことあるごとに伝える
②そのことを叶えるために、それぞれ私たちはどの様にしていけばよいかを考える
③具体的に、現場職員の対応や接客に、どのレベルを求めているのかを伝える続ける

①については、会議や研修などで、逐一伝えていました。従業員としては耳にタコができていたかと思います。
しかしそのくらい伝え続けることで、じわじわと浸透していったように感じています。

②については、「こうしなさい」ではなく
「これらを叶えるために、一人一人は普段からどのような行動をすればよいか皆さん一人一人考えて、行動をしてください。その行動を私は経営者としてみています」
と言い続けました。
そのことで、自分自身が毎日どのように振る舞えばよいか、考えてくれる様になり、結果として質の高い対応ができていたかと思います。

③については、私たちの目標にすべき接客対応レベルについて、いつも具体的に話をしていました。
私がいつも言っていたことは、
「私たちの目標は、ディズニーランドやスターバックスのスタッフです。あのくらい徹底したサービス提供を行うことで、初めて私たちは生き残ることができます。ぜひ皆でそこを目指していきましょう」
ということ。
具体的な目標のレベルを提示することで、職員たちにもはっきりとした目標を提示することができました。
そのことで、普段からサービスに対しても考える様になり、自分達で質の高いサービスの提供をしてくれる様になりました。

【やるべきこと③】集客のための営業活動や戦略の強化

根本的な見直しを行うとともに、実際の集客方法の見直しも重要であると考えます。
今までと同じやり方では必ず落ちていきます。

今までやっていたことの見直しや、やれていないことなどがあったら、積極的に取りあえげいくべきです。
例えば、
①定期的な説明会の回数を増やす
②今までやっていなかった営業活動を行う
③商圏を広げて営業を行っていく

などが考えられます。

①定期的な説明会を月に1回行っていたら、それを2回、3回と回数を増やしたり、

②今までやっていなかった営業活動、例えば駅前のチラシ配り、他所での体験イベントの実施、など、目線を変えて行ってみることが重要かと思います。
また、郵便局でお願いできるDMも、さまざまな種類があります。

普段はポスティングできないマンションなどにも配布できる「タウンメール」や、ハガキ型のDMで「暑中見舞い」や「年賀状」として出せるタイプのものなど、様々なものがあります。
経営者・責任者の方にはぜひご自身で色々とお調べいただき、新しい実践を行っていってください。

また③についてですが、送迎の距離を広げていく事を前提に、ポスティングエリアや説明会会場も今まで以上に広げていき、顧客を獲得していく戦略になります。

こちらは、それぞれの会社の状況によるかとは思いますが、経営者としてはぜひご検討いただきたいことになります。

【やるべきこと④】コンテンツの再考

さて新たな集客戦略も実践しながら、同時に現在提供をしているコンテンツに関しても再考をしていきましょう。

この機会に一度立ち止まって、
「今の時代、この地域にとってニーズのあるものが、本当の意味で提供できているか?」
を厳しく考えてみましょう。

カリキュラムの導入については、私自身今までもご相談を受けるのですが、私がこの時に申し上げていることは主に二点。

①今の時代にマッチしているか?
②この地域にマッチしているか?

の二点であると私は考えます。

①に関しては具体的に言いますと、このカリキュラムがどれだけ小学校の指導要領の内容と位置しているか?という事です。
すなわち、「このカリキュラムを毎日受けていくと、小学校ではこの様になっていきます」という明確なストーリーを提示していくという事です。

現在は、英語は小学生の「必修科目」となっているので、まずは
「小学校の授業絵では、ここを勉強していきます」
という非常に強力なアプローチをすることができます。

その上で、「グローバル化に向けた人材育成」というアプローチも加わり、保護者の方々にとっては英語についてわかりやすいストーリーをイメージしながら検討ができるということになっています。

また②に関しても、現在運営を行なっている地域の中で、どのカリキュラムの習い事があるのか、どのカリキュラムが無いのか、を敏感にキャッチしていく必要があるかと思います。

その中で、どのカリキュラムが地域のニーズが高いのか、を慎重に考え提供をしていく必要があるかと思います。
現在のカリキュラムの中で、再考の余地がありましたら、よく検討し適切なカリキュラム構成を行なっていく必要があります。

【やるべきこと⑤】自らの発信の強化

インターネットが大幅に発達したこの情報化社会において、発信が弱い施設は集客において致命傷です。
保護者の方々は、インターネットで常に情報収集を行い、慎重に学童保育を決めています。
その中で、もし自社の施設の情報発信が弱いと感じている方は、早急に改善を行う必要があります。

たまにSNSに疎い経営者の方が経営されていて、ブログやinstagramですら行っていない事業者の方をお見かけします。

現代の学童経営の中では、これはありえません。

①ブログ
②Instagram
③TikTok
④YouTube
⑤X

などのSNSを使用しての情報発信を行うことは、現代社会では必須となっています。

もちろん、全てを毎日行う必要はありませんが、状況に応じて最低複数の発信は欠かせません。
常にオープンであるという姿勢、そして活動をアピールすることで、「賑やかで楽しそうな雰囲気」を常に発信する施設であってもらいたいと考えます。

それらを保護者の方々感じて、そのことが入会につながっていく、重要な行動となってくるのです。

【やるべきこと⑥】ウェブサイトの更新

こちらも⑤と繋がってくる話になります。
繰り返しになりますが、学童保育を探しておられる保護者の方々は、ほとんどがWebにて検索を行っています。
せっかく検索に引っかかったとしても、施設の顔であるウェブサイトが古臭かったり、見にくいものであったら、途端に信頼感を失ってしまいます。

過去のブログでも書きましたが、私は自施設のウェブサイトには優先的にお金をかけるべきであると考えています。
大手の看板がない事業者にとって、小さな信頼を重ねていくことが重要であり、その部分を少しでお手を抜くことはマイナスしかありません。
「綺麗で見やすいウェブサイト」は、最低限の保護者との信頼関係をつなぐものであると考えます。

ですので、

「PCとスマフォが同じ画面(いわゆるレスポンシブ対応されていない」
「明らかに、無料で手作り感満載のレイアウト」
「デザインが明らかに無料の良さ集めのダサいデザイン」

と感じるウェブサイトなどは、私の感覚ですとありえません。
お金がかかったとしても、絶対にプロに頼むべきです。
それも、費用ばかりかかる悪徳事業者ではなく、信頼できる事業者に頼んでください。

繰り返しになりますが、現在ウェブサイトにお金をかけていないという事業者の方は、早急にお金をかけて、より見やすい信頼性のあるウェブサイトに更新をしてください。

【やるべきこと⑦】地域で1番を目指す経営

人口が減りGDPも下がり続けているこの日本では、今後多額の投資をして大きく展開をしていく時代ではなくなっていると考えます。
ですので、特に中小零細の事業者が目指すべきは、「地域1番店」ということになります。

学童保育という事業は、事業展開という部分では中小零細企業は資本力がある企業には負けてしまいます。
しかし一店舗一店舗の質の勝負では、大手も中小も関係ありません。
むしろ、大手は一店舗一店舗の管理にコストがかかるため中小の方が質の高いサービスを提供することも可能です。

ですので、中小零細の経営者は、地域で1番を取ることを目標にするべきだと考えます。

地域で長く商売をし、地域に認知され、愛される学童保育を目指してください。
そのためには上記のやるべきことに加え、日々地域での振る舞いや、コミュニケーション、地域での貢献を考えていく必要があります。
自分勝手と思われるような振る舞いは、絶対にNGです。

地域に愛され、長く続けていけば、大手が参入してきたとしても、経営はびくともしません。
そこを目指して、頑張りましょう。

以上長くなりましたが、今回のブログを参考に、ぜひこれからの厳しい時代を生き残って頂きたいと思います。

これからも頑張ってください!