2023年、明けまして新年1回目の投稿になります。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
保育コンサルタントの杉江です。

さて今回は、

【考察・保育業界の今後について】保育の専門家による、今後の保育業界についての未来予想 というテーマでお話をしていきたいと思います。

本ブログ(著者・杉江)の具体的な信頼性は以下になります。

  • 保育士を取得後、20年以上にわたり保育事業に従事している。
  • 民間学童保育を創業し、5年間経営者として事業に携わる。(アフタースクール寺子屋 東京都目黒区)
  • 民間学童経営者として、5年間で登録者数2名→100名、通期黒字化を達成する
  • 保育コンサルタントとして、5年で50件以上のコンサルティング/アドバイザー/研修講師を務める

今回なぜこのテーマを選んだかと言いますと、普段のコンサルティングの仕事でよく企業様からアドバイスとして求められるランキング1位が、今回のテーマだからです。

私は大学教授や研究家ではないので、細かなデータを元に理論的なお話みたいなことはできません。
また、未来というものは誰にもわかりません。

今回はあくまで、

現場保育士としてスタートし→経営者→コンサルタントとして、保育業界に長年身を置く者としての、一個人としての考察を述べさせて頂きます。

私個人の感覚や考えでお話をさせて頂きますので、正確性に欠ける場合や考え方が違うという場合はご了承ください。
一つの意見として参考にして頂き、今後の事業戦略にお役立ていただけましたら嬉しく思います。

【結論】保育の需要は益々減る。保育園・学童保育の淘汰や消滅が進む

 

まずは結論になりますが、業界全体が大きく縮小して行くと予想します。

言わずもがなですが、一番の原因として元々進んでいた少子化が、新型コロナウィルス感染拡大によりさらに進んでしまったためです。
子どもたちの数が減る=顧客の減少なので当たり前の話ですし、現在すでに認可保育園でも定員割れや廃園、企業同士のM&Aなどの声もよく聞くようになりました。

また、この3年間の新型コロナウィルス感染拡大により、保育園への「預け控え」も進んでいるように感じています。
結果、今後保育の需要が減り、益々保育園・学童保育の淘汰が進むと予想します。

そうなりますと、これからは保護者が保育園を選ぶ時代に。

運営事業者側からすると、選ばれる保育園づくりをしていかなくてはなりません。

【予想①】小規模認可保育園・2歳児預かりの企業主導型保育所の淘汰

 

まずは2歳児までの預かりの保育園がまずは淘汰されていくと予想します。

とても単純な話し、2歳児を過ぎたら上記の保育園に通っている方は、3歳児以上の預け先を探さなければならない。
その手間はとても大きいです。

ですのでそれを避ける為、保護者の方々は初めから5歳まで預けられる保育園を探す事になっていくかと思います。
そうなりますと最初の結論に戻りますが、2歳児までの預かりの保育園がまずは淘汰されていくと予想します。

最初の結論でも述べましたが、保護者側の立場からすると、いくつかの選択肢があった場合に選ばれにくい事業体系化であると個人的には思います。

【予想②】認可保育園以外の無認可保育所・東京都認証保育所・企業主導型保育所(5歳児預かり)などの淘汰

 

次に淘汰されていくと予想するのが、自治体から独自の認可がおりている認可保育園以外の保育園になると予想します。

例えば東京都の場合、独自に認可をして補助金を出している「東京都認証保育所」などがありますが、それらの保育園が対象となっていきます。

理由としましては、まずは料金の高さです。
下記のように、認可保育園に比べ保育料が高くなっています。

※東京都保健福祉局より抜粋
「東京都認証保育所事業実施要綱4に定めるところにより、原則として、月220時間以下の利用をした場合の月額は、3歳未満児の場合80,000円、3歳以上児77,000円を超えない料金設定とすることとしています。」

それこそ、今後淘汰が進んでいきますと、一般のサービス業のように、価格競争に発展していくことになる可能性もあります。

また、東京都認証保育所・企業主導型保育所ともに無認可保育所の部類になりますので、独自に集客を行わなければならず、経営の難しさから閉園や事業譲渡なども進んでいると感じてます。
(認証保育所から、認可保育園への移行をする事業所もあります)

そのため、東京都認証保育所・企業主導型保育所は、淘汰が進んでいくだろうと予想します。

【予想③】認可保育園の淘汰

 

最後に、認可保育園も淘汰が進んでくると予想します。

現在、すでに定員割れが出ている認可保育園があることも目にしておりますし、実際認可保育園も閉園が進んできている状況です。

また、2年前にはなりますが、保育園の開業支援行った際に認可の募集をしている一都三県の自治体を調べたのですが、新規の事業者を募集している自治体がほとんどなく驚きました。
また半分くらいの自治体は、募集自体もしておらず、改めて保育園が充足してきていることを実感しました。

10年ほど前のように、建てれば定員いっぱいという状況では、すでになくなってきているという印象です。
現在、認可保育園を運営しているからといって、決して安心できる状況ではありません。

【番外編・学童保育の予想】公立学童保育の減少・民間学童保育は多様化で生き残りも

 

さて番外編となりますが、保育園とも連動している、学童保育業界についても私の考察として少し触れておきたいと思います。

現在、ほとんど終わりかけているのですが、公設公営の学童保育の民間委託がかなり進んでいる状況です。
理由としましては、自治体の財政が厳しくコストカットを進めているためです。

詳しくは、当ブログの

学童保育民間委託の問題点について

をご覧いただけるとわかりやすいかと思います。

そこからさらにコストカットが進むと、学童保育が消滅していき、「全児童対策」事業へと移行していきます。
放課後の小学校の空き教室を利用し、希望する全児童を受け入れる事業になります。

そこに「学童機能」を残した会員枠を設け、おやつ提供や延長保育を実施している自治体が多いようです。
こうして、公の学童保育はどんどん消滅していく方向に向かっていっています。

一方、「民間学童保育」に関しては異業種も含め企業の参入が進んでいます。

詳しくは、

【徹底比較!民間学童保育業界地図】保育のプロが業界全体を比較・分析し、まとめました!

に詳しく書かせて頂きましたが、ここ10年ほどで民間企業の民間学童保育参入が続いており、市場は広がっていると感じています。

そのためか、私のところにも日々様々な相談や、コンサルティング・アドバイスの依頼があります。
ニッチではあるが、それだけ需要があるのだなと、日々実感をしています。

ですので、今後は学童保育といえば、「民間学童保育」ということになるかもしれませんね。
私自身、昭和の時代に学童保育に通い、おおらかで楽しい思い出がたくさんあるのですが、そういった時代はもう来ないのだろうと思います。
(私が通っていた40年前は、子どもたちだけで外の公園に行っていましたが・・・良い時代でした。)

【まとめ】とはいえ、保育園・学童保育は無くなるものではない。生き残る保育園(事業者)は生き残る

 

まとめになります。

タイトルにもありますように、とはいえ、保育園・学童保育は無くなるものではないものではありません。

・生き残る保育園(事業者)は生き残る

・潰れる保育園(事業者)は潰れる

これに尽きるかと思います。

時代の変化を読み、保護者の皆さんの保育ニーズをつかみ、保育の質を上げていく努力を怠らない。
時代の変化に対応できる保育園(事業者)が生き残ります。
今すでに保育事業を運営されている方はもちろんのこと、新規に参入を考えている事業者様は、相当の覚悟が必要かと思います。

「大きな資本で、保育園を建てれば建てただけ儲かる」という時代は終わりました。
改めて、厳しい戦いの中で、勝ち抜く努力が必要なってきています。

本ブログでも、今までも生き残るための数々のお話をしてきましたし、今後も保育事業者の皆様のお役に立てるような情報を発信していきたいと思います。
本ブログの読者の皆様は、どうかこの厳しい時代を勝ち抜いて頂きたいと思います!
その一助に私がなることができましたら、こんなに嬉しいことはありません。

最後までご覧頂きましてありがとうございました。