保育コンサルタントの杉江です。

さて今回は、【学童保育指導員の給与は上がるのか?〜上げる方法を考えてみた〜】ということについてお話をしていきたいと思います。

本ブログ(著者・杉江)の具体的な信頼性は以下になります。

  • 保育士を取得後、20年以上にわたり保育事業に従事している。
  • 民間学童保育を創業し、5年間経営者として事業に携わる。(アフタースクール寺子屋 目黒区碑文谷3-1-4-16)
  • 民間学童経営者として、5年間で登録者数2名→100名、通期黒字化を達成する

保育業界というのは、激務の割りに給与が低いという事で有名ですが、その中でも学童保育指導員の給与と言うのは更に低い現状があります。
私自身も指導員時代にとても苦しい思いをしていましたし、今も学童保育でやりがいを持って働きながらも、給与の低さから生活が非常に苦しい方もいらっしゃるかと思います。

また結婚をしたい、子どもが欲しいなど、人生の転換期を迎えたいる方にとってはこの給与の低さは大問題です。

ですので今回は、業界歴23年以上、学童保育の起業・転職も経験している私が、学童保育指導員の給与を上げる方法を考えてみたいと思います。

本ブログ(著者・杉江)の具体的な信頼性は以下になります。

  • 保育士を取得後、20年以上にわたり保育事業に従事している。
  • 民間学童保育を創業し、5年間経営者として事業に携わる。(アフタースクール寺子屋 目黒区碑文谷3-1-4-16)
  • 民間学童経営者として、5年間で登録者数2名→100名、通期黒字化を達成する

※今回はあくまでも学童保育の給与の現実を皆さんに知って頂きたいと思い、ブログを執筆しました。現在頑張っておられる学童指導員さんの給与自体を批判する目的ではないことをご理解ください。
今現場で頑張っておられる先生方は、心から応援していますし、尊敬をしています。

結論【学童指導員の現在給与が大幅に上がる有効な手立てはない。大半の方は、給与は低いまま上がらないと言う現状だと考えます。】

 

業界に23年いる私の結論から言いますと、

「学童保育指導員の給与は、低いまま上がらない」

という絶望的なお話になります。
基本的には今後も低い水準のまま、大きく上がることはないと考えます。

理由としては、前回のブログでも少しお話をさせて頂きましたとおり、

「国として学童保育に投資する意思が見えないこと」

に尽きると思います。

学童保育の基本的な給与の原資は、民間の学童保育を除き「税金」になります。
それは現在の給与の低さは、国が学童に税金を投入していないから、
すなわち、国は学童保育を重要視していないということになります。

様々なデータがネット上には出ていますが、少なくとも保育園より重要視されていないということは平均年収の数字でも明らかです。

ということでまずは、学童保育の給与の現状と一般論としてのデータを見て見たいと思います。

◎学童保育指導員の平均給料・給与
・月給:19.6万円

◎学童保育指導員の平均年収
・245.2万円~318.6万円(中央値281.9万円)

というデータがありました。
地方の方はもっと低い方もいらっしゃるかと想像します。

念のために、保育士のデータもご紹介しておきます。

◎保育士の平均給料・給与
・月給:23万円

◎保育士の平均年収
・286万円~373万円(中央値329.5万円)

ある一つのサイトの情報ですが、中央値で約50万円も年収が違ってきているのですね。

※出展:給与BANKより

ちなみに、日本全体の平均給与は、以下になります。

※日本人平均年収:441万円(国税庁の民間給与実態調査(平成30年)より)

現在学童保育にお勤めの方には絶望的な話しになりますが、
長くこの業界にいる身として私は、一学童保育指導員の給与が、日本人平均並みに上がることはほとんどないと思っています。
私自身はまさに、この年収面に絶望をしまして、会社を辞め起業を決意した次第です。

悲しい現状ですが、まずは現実のお話でした。
では次の章からは、具体的なお話をしていきたいと思います。

給与を上げる方法①【地方公務員になり、自治体直営の学童指導員になる。】

 

では、ここから具体的な給与を上げていく方法をなんとか考えていけたらと思います。
まず一番現実的なのは、「地方公務員の学童保育指導員になる」ということになります。

一度なってしまえば、給与体系は「地方公務員の水準」となりますので、他の公務員の方と同等になります。
実際私が見聞きしたとある自治体の公務員の年収額で言うと、40代前半の方で、年収は500〜600万円でした。
月収は30万円前後とあまり高くはありませんが、賞与が一回100万円前後ということでした。

しかもこれだけの収入に加え、基本的に倒産や解雇はないとなれば、豊かに暮らしていくのに十分だと思います。

ただし、注意点としては、

・そもそもなることが非常に難しい。非常に狭き門である。
・考え方も古く、大きな組織に属するため息苦しさを感じる
・もし仮に受かったとしても、学童保育以外の部署に異動させられる可能性がある

以上の三点が挙げられると思います。

そもそも公務員になることは難しいですし、入ったとしても、保育園や他の施設、あるいは全く畑違いの部署(公園課とか、生活保護課など)に行かされることも可能性としては考えられます。
あるいは、そもそも自治体の方針で、学童保育廃止してしまう自治体もあります。

そうなったときには、公務員としてなんでも仕事を行うと言う意思を持たないと、非常に苦しくなってくるかと思います。

給与を上げる方法②【利益が出ている民間学童保育の指導員になる】

 

続いてこちらも狭き門になってくるかと思いますが、利益が出ている学童保育の指導員になる、と言うことになります。

公立学童の指導員と大きく違うところは、税金が入っていないと言うことです。ですので理論上は利益が上がっていれば給与はどんどん上げていくことが可能です。
実際私が経営していた民間学童では、そのことを目指し、結果ある程度達成することができました。

しかし経験者から言わせて頂くと、民間学童保育で利益を上げていくことは、並大抵の努力では達成できません。
私自身もそうでしたが、公立学童のみの経験から考えようとすると、高い壁にぶつかります。

具体的には、まずは利益を上げていくにはとにかく「集客」を毎日していく必要があるということがあります。
学童保育を「サービス業」と捉え、実際にポスティングや集客イベントなどを行うのはもちろん、

・日々のサービス提供の質を上げていく
・要望には柔軟に対応をしていく

など毎日の一つ一つの言動が非常に重要になっていきます。
これを日々実施していくことは、本当に大変です。

この感覚が合わない方は、民間学童は非常に厳しい職場になりますので、そう言った方は公立の学童保育で勤務をして頂けたらと思います。

給与を上げる方法③【現場から離れて本部のマネジメント側に回る】

 

続きまして、少し強引な方法になりますが、一旦現場から離れてマネジメント側に回るという方法もあります。
スーパーバイザーやマネージャー、人事などが考えられますが、ポジションを上げるか変更をしてもらい、必然的に給与を上げていくという方法ですね。
この方法は、まずは会社側に自身の力量を示しポジションを上げて(変えて)もらうという、とてつもない高い壁があります。

さらにデメリットとして、

・現場に入ることが少なくなる
・自分の施設という居場所がなくなる
・組織マネジメントという、今までと全く違う労力がいるので、一からの勉強をする必要がある
・何かあったら現場とは対立する立場になるので、嫌われ者の役目になる
・結果、今までに比べてストレスが大きくなる場合が多い

などが考えられます。
これらのデメリットを考え、ポジションチェンジをご検討ください。

給与を上げる方法④【学童経営者になる】

 

これは私が実際に行ったことになります。(7年前に民間学童保育を創業。代表取締役を5年務める)

・学童保育には携わりたい
・でも給与を大幅に上げたい

と考えた場合、この方法しかないかなと個人的には思います。

もちろん経営者というものはそう簡単には務まるものではないですし、ストレスは本当に半端ありません。
しかし事業として成功させると、自身の報酬は青天井で上げていくことができます。

ちなみに私もある程度の結果を残したことで、公設民営学童の会社員時代に比べ、まずまずの年収アップを果たすことができました。
もしチャレンジしたい方は、是非チャレンジしてみてください。

給与を上げる方法・番外編【転職する】

 

これは今回の趣旨とはズレてしまうかもしれませんが、もう責任と給与のバランスがおかしすぎて納得がいかない、人生が見えないとなったら、職を変えるしかありません。

ちなみにこれも私が実践をしていて、昨年から全くの異業種、「人材紹介業」を行っています。
この人材紹介業で生まれて初めて

・結果が数字として現れる仕事
・B to Bの仕事

に従事していて、勉強の日々を過ごしながら日々コツコツと仕事をしています。

私自身、人を助けることが好きな性格もあり、また、やればやるほど結果が出るこの仕事に大きなやりがいを感じています。
結果現在も人材紹介業の売り上げは定期的にあり、フリーランスの私にとって大きな収入源になっています。

特に大きな気づきになったことは、
B to Bの仕事は、結果を出すと桁違いに報酬がもらえるということ。
単純に財布の大きさが、企業(B)と個人客(C)では明らかに使う金額が違うからです。
これは保育の仕事だけでは知ることができませんでした。

それと今年の1月から、「保育の専門家・コンサルタント」としての活動も開始しました。
今年に入り、企業へのアドバイスや企業での研修など、少しずつですがお仕事を頂ける様になりました。
これもある意味では転職です。

こちらは今までの経験を生かした仕事になるので、大きく育てていければと思い日々精進しています。

こうして新たな世界に飛び込むことで、自身の成長を実感したり、大きな報酬を得ることができるという可能性があります。
ですので、給与を上げる方法として、個人的には転職もかなりおすすめです。

まとめ【学童保育は素晴らしい仕事ですが、「給与的には」夢はありません。どうしてもの方は、公務員か民間学童保育の二択です。】

 

さてまとめに入りますが、学童保育の仕事で給与を日本人平均並みに上げていくのはほぼ不可能だという現状になります。
ですので生活的に苦しくなる状況が生まれてしまうかもしれません。
もしご結婚されている方で学童勤務を希望の方は、まずは共働きで何とか世帯収入を増やしていくことが現実的かと思います。

しかし、それでも学童にこだわりながら給与を大きく上げていきたいということでしたら、上記にあります様に公務員になるか民間学童の従業員か経営者になるかの二択になるかと思います。

学童保育という職種を取るか、現実的に給与を取るか、どちらも間違いではありません。

どちらの人生が幸せに生きることができるのか。

人生の選択になるかと思います。

おまけ:私杉江の過去給与の中身公開【公設民営学童施設長時代の額面年収は約290万円前後。】

 

最後に私の現場時代の給与を公開したいと思います。
詳細は以下の通りです。

・東京都23区内・公設民営学童施設長時代の額面年収:約290万円前後
・月収:約20万円。手取り約16万円。
・ボーナス:年2.5月分
・昇給:年3,000円前後(一律)

大体以上の様な感じでした。

もしかしたら「十分高いではないか!」と思われる方もいるかもしれませんが、当時住んでいたアパートが品川区内のワンルームで月¥72,000。

手取り額からいうと、非常に苦しい生活でした。

・入社時は32歳・保育歴10年以上、施設長としての配属。
・責任者として全ての責任を背負う形で、子どもたちの命を預かり、大地震だろうがコロナだろうが最後まで必ず出勤をする。
・そしてどんなにいい仕事しても、他の従業員と昇給・賞与は一律。
・厳しいクレーム。

私は当時から、責任と給与が全く釣り合っていないと毎日感じていました。
それが積み重なり、日々非常に辛かった思い出があります。

ですが反面、今思うと、その先の人生に役立つ貴重な経験をたくさんさせて頂いたということでは大変ありがたかったです。
前々職の会社には大変感謝をしています。

おかげさまで今は独立起業を経て、家族3人が何とか暮らせるくらいの年収は頂ける様になりましたが、あのまま残っていたらどうなっていたか・・・
ご覧の皆さんは、今回のブログをどうお感じになりましたでしょうか?

以上、少しでも学童保育の給与の現実を知って頂き、今お悩みの皆さんの参考になれば嬉しく思います。

関係者の皆さん、共に頑張っていきましょう!