保育コンサルタントの杉江です。

さて今回は、公設民営学童保育の運営受託(プロポーザル)の流れ・方法についてお話をしたいと思います。

本ブログ(著者・杉江)の具体的な信頼性は以下になります。

  • 保育士を取得後、20年以上にわたり保育事業に従事している。
  • 民間学童保育を創業し、5年間経営者として事業に携わる。(アフタースクール寺子屋 目黒区碑文谷3-1-4-16)
  • 民間学童経営者として、5年間で登録者数2名→100名、通期黒字化を達成する
  • 公設民営学童保育のプロポーザル(入札)に参加し、二施設の運営受託
  • 保育運営会社からの運営受託の相談に乗る

こちらは実際に保育運営企業様からのお問い合わせを頂いたり、サポートをさせて頂いた経験もあり、非常に気になっている方も多いかと思います。

では具体的にどの様に運営委託を受託して行くのか、お話をしていきたいと思います。

 

公設民営学童保育の運営委託までの流れ【プロポーザル(入札)→書類審査→プレゼン→決定、が一般的な流れです】

 

まず前提として、委託するにあたっての条件は各自治体によりますので、詳細は希望の自治体にお問い合わせ下さい。
ここからのお話は、私の今まで見てきた中での大枠のお話になります。
ご了承下さい。

という事でまずは受託までの流れを簡単に説明します。

 

・まずはどの自治体にプロポーザル(入札)を行うか、インターネットや直接の営業で詳細を確認する。特に、自社が必須条件などをクリアしているかを確認する。

・書類を揃え、プロポーザル(入札)を行う。書類審査の結果を待つ。

・書類審査通過後、二次審査にて自治体へプレゼンを行う。

・プレゼン結果を待ち、合格であれば委託決定。契約書を交わす。

・通常は年度始めの4月からの委託開始。それまでに、「住民説明会」「引き継ぎ期間(通常2ヶ月程度)」を経て、委託が開始になる。

・通常3~5年に一回、委託継続の審査を受ける。審査通過後、継続決定。落ちる可能性もある。

順番に説明します。

・まずはどの自治体にプロポーザル(入札)を行うか、インターネットや直接の営業で詳細を確認する。特に、自社が必須条件などをクリアしているかを確認する。

まずは委託をする自治体選びから開始します。
インターネット等で情報を集め、必要であれば直接自治体に赴き、プロポーザル(入札)をしたい自治体を決めましょう。
基本的には自治体のウェブサイトを見て情報を集めることをお勧めします。

場合よっては説明会を開く自治体もありますので、もし本気で受託を考えている場合は積極的に参加をしましょう。
情報を集めたら検討をし、入札準備をしましょう。

・書類を揃え、プロポーザル(入札)を行う。書類審査の結果を待つ。

書類を揃え、条件が整いましたら、期日までに書類を提出します。
後は書類審査の結果を待つばかり。
良い結果を待ちましょう。

ちなみに私の過去の経験から、大まかな書類の中身は以下になります。(千葉県のとある自治体の例)

・参加表(申込書)
・事業実績
・基本理念や、自治体の実情を踏まえの提案など
・運営方針
・登記簿
・決算書(過去3年分)
・納税証明書
・事業内容
・運営の経費

などを提出していました。
参考にして頂けたらと思います。

・書類審査通過後、二次審査にて自治体へプレゼンを行う。

続きまして、書類審査が通りましたら自治体へのプレゼンになります。
私の過去参加した経験(東京都のある自治体)から内容を話しますと、

・過去の事業内容の説明
・今後の展開する事業内容について
・質疑応答

という非常にシンプルなものでした。
質疑応答では、

「この自治体の印象はどう言った印象ですか?」

という質問を受けました。
各自治体に合わせて作戦を考えていく必要があるかと思いますので、準備をしていきましょう。

・プレゼン結果を待ち、合格であれば委託決定。契約書を交わす。

見事プレゼンを勝ち抜き合格となったら、契約となります。
そこからは基本的にはその自治体と一心同体で運営を行なっていくということになります。
委託までのスケジュールなどを自治体と確認をし、一緒に進めていきましょう。

・通常は年度始めの4月からの委託開始。それまでに、「住民説明会」「引き継ぎ期間(通常2ヶ月程度)」を経て、委託が開始になる。

いよいよ委託に向けての準備期間に入ります。
現状運営をされている学童保育に自社の現場社員を派遣し、スムーズに移行できる様に引き継ぎ等を行って行きます。

まだ同時に、今利用されているご家庭向けに説明会を開催し、説明をしたり質問を受け付け、利用者の不安を無くすよう努めます。
私の前々職はまさに、委託決定直後の引き継ぎ期間から中途での入社という状況でしたので、上記の一連の流れを全て行いました。

特に自治体直営の学童保育からの民間委託というのは、保護者の方々は非常に不安を覚えています。
丁寧な説明、ならびに丁寧な運営を行っていきましょう。

・通常3~5年に一回、委託継続の審査を受ける。審査通過後、継続決定。落ちる可能性もある。

さて様々な困難を乗り越え、運営は無事に軌道に乗りました。
しかし通常は3~5年後に一回、継続の審査があります。
通常二パターンあり、

・自治体が保護者にアンケートを取ったり現地を視察して、継続の可否を決める。
・一旦契約は解除となり、また一から入札を行う。再応募は可能。

というパターンが一般的かと思います。
継続した質の高い保育、自治体への貢献が求められます。

 

公設民営学童保育受託の必須の条件【まずは保育施設経験が必須。後は正常な財務状況と自治体に対する思いも問われる。】

 

続きまして、具体的な必須条件のお話になります。
結論からお話しします。

・過去に保育施設の運営実績があるか
・正常な財務状況であるか
・その自治体への思い
・保育内容の正常性

以上を必須条件に挙げる自治体が多いかと思います。
説明します。

・過去に保育施設の運営実績があるか

これを自治体は非常に重視をします。
保育園か学童保育をどこかで運営していたかどうかという事が、自治体にとって非常に大切になってくる場合が多いです。
ですので、もしそれらの実績がない場合は、受託の可能性はとても低いと思われます。
そちらは頭の片隅に置いておいて頂けたらと思います。

・正常な財務状況であるか

こちらは当たり前の話ですが、委託をした企業が倒産したり、すぐに撤退するなどのトラブルを大いに懸念をしています。
ですので入札の際には財務関係の書類の提出を求められます。
会社経営についても、日頃からきちんとしておく事も大切です。

・その自治体への思い

先程の書類の中身でも出ましたが、その自治体への思い、その何ができるのか?等も求められます。
ですので書類作成の際はきちんと調べ上げることは当たり前、担当者や現場責任者がその自治体出身などの事があれば、自治体の気持ちを動かす事ができる場合もあります。

・保育内容の正常性

個人的には、こちらはあまり重要ではないと考えます。
保育というものは突き詰めると、大切な事は重なって来るからです。
比較をした事はありませんが、どこも似たような目標になると予想できます。

・安心、安全な保育環境
・子ども達の成長を促す環境
・感性を伸ばす保育
・個性を大切にする保育

など、同じ様な項目が並んでくるかと思います。
ですのでここは自社で大切な事をきちんと伝えられれば、大きな問題はないと個人的には考えます。

まとめ【大切なのは、実績、財務内容、自治体への思い】

 

ということでまとめに入ります。
特に大切な事は以下の三点に集約されると考えます。

・過去の保育施設の運営実績

・健全な財務内容

・その自治体への思い(担当者がその自治体出身であればなお良し)

 

以上になります。
色々とハードルは高いですが、チャレンジしたい方は是非チャレンジしてみて下さい。

頑張って下さい!