保育コンサルタントの杉江です。

さて今回は、

【徹底比較!民間学童保育業界地図】保育のプロが業界全体を比較・分析し、まとめました!

というテーマでお話をしていきたいと思います。

本ブログ(著者・杉江)の具体的な信頼性は以下になります。

  • 保育士を取得後、20年以上にわたり保育事業に従事している。
  • 民間学童保育を創業し、5年間経営者として事業に携わる。(アフタースクール寺子屋 東京都目黒区)
  • 民間学童経営者として、5年間で登録者数2名→100名、通期黒字化を達成する
  • 保育コンサルタントとして、5年で50件以上のコンサルティング/アドバイザー/研修講師を務める

仕事柄よくリサーチ会社やコンサルティング会社の方々より、業界全体についてのアドバイスを求められることがあります。
また支援先の企業様においても、同業他社についてリサーチを行ったりレポートを提出したりしています。

ということで、ここで現時点(2021年8月)時点での、私なりの民間学童保育業界全体について解説しました。
これは個人向けではなく、民間学童事業に興味にある事業者向けの内容になっています。
ご興味のある方は御覧ください!

【民間学童の先駆者】キッズベースキャンプ

 

まず、民間学童保育事業を語る時に絶対に欠かせないのが、東急グループ、株式会社東急キッズベースキャンプが運営する民間学童「キッズベースキャンプ (https://www.kidsbasecamp.com/index.html) 」

この業界の先駆者でもあり、業界の先頭を走っている学童保育となっており、現在は大手鉄道会社の東急グループの傘下に入り、事業を拡大しています。

そこでまずは、簡単にキッズベースキャンプ社について歴史を振り返ってみたいと思います。

2006年5月に株式会社エムアウトの一事業部としてスタート。同年9月に第一号店を世田谷区桜新町にオープンさせます。
その後2008年12月に東急株式会社の100%子会社となり、現在に至っています。
現在は直営の民間学童保育だけではなく、自治体から運営委託された公設民営の学童保育の運営なども積極的に行っている様です。

個人的な強みを挙げてみますと以下になります。

・東急グループの安心感

・最大夜10時までの預かり

まず最大の強みは、先駆者であり東急グループであるという事が一番の強みであると思います。
初めての学童利用を考えている保護者としては、やはり聞いたこともない小さな学童保育へ預けるよりも安心感があるかとおもいます。

また、最大夜10時までのお預かりも非常に大きな特徴で、強みであると思います。
保育事業で夜10時までのシフトを組むということがどれだけ大変かは、経験者としてとてもわかります。
また経営的に人件費と照らし合わせてみて、多分その時間帯の採算としては合っていないかと想像します。

そこを貫いている姿勢はさすがだと言わざるを得ませんし、小規模な学童では真似はできません。
多くはないかと思いますが、夜10時の保育のニーズはあるかと思いますので、そこのニーズをきちんとすくい取り、信頼感を上げて、普段の集客につなげているのだと思います。
非常に細かい努力をされているのだと個人的には思います。

そして個人的なキッズベースキャンプの物足りなさを感じる点も述べておきますと、以下になります。

・日常のプログラム、特に学習カリキュラムの部分

・送迎について

他の塾系の民間学童と比べ、公立学童寄りの姿勢といいますか、基本預かることに重点をおいているように感じます。
プログラムを拝見すると、

「キッズMBA」
「マナー&生活技術」
「エコラボキッズ」
「食育・歳時記・クッキング」

などフワッとしたものが多く、またある意味学童で教えるのは当たり前のことをあえてプログラムとして謳っているところに、個人的には物足りなさを感じます。

具体的な、

「算数」
「英語」
「プログラミング」

といった学習を期待しているご家庭にとっては物足りなさが残るかもしれません。

しかし、

「農業体験」
「アウトドアキャンプ&ツアー」

といった体験型のイベントが多く、学力の向上よりこうした体験的なイベントが好きなご家庭にはハマるかと思います。
そこは何を重要視していくのかの違いだと思います。

また送迎についても指定している学校以外の小学校へはお迎えを制限したり、送りは自宅の玄関ではなく途中の拠点までしか基本は行かないなど、こちらも保護者にとっては少し物足りなさを感じるかもしれません。(個別の相談は可能のようです)

ただ個人的には業界の先駆者としてリスペクトがありますし、過去にも勉強させて頂いた部分は多くありました。
民間学童保育の創業をお考えの方は、まずはキッズベースキャンプさんを研究してみて間違いはないかと思います。

※まだ数は少ないのですが、別ブランドの民間学童保育

キッズベースキャンプαhttps://www.kidsbasecamp.com/alpha/index.html)」

キッズベースキャンプ∞https://www.kidsbasecamp.com/infinity/index.html)」

というブランドでは、学習や英語教育に力を入れた内容を展開しているようです。
詳しく知りたい方はURLをクリックしてみて下さい。

 

【民間学童店舗数No. 1】キッズデュオ

 

続きまして現在最も勢いよく店舗数をしているのが、大手学習塾グループ・やる気スイッチグループの民間学童保育「Kids Duo(キッズデュオ)https://www.kidsduo.com)」です。

今までの多様な教育事業の経験と豊富な資金を生かし、現在民間学童日本一の店舗数を運営しています。(150店舗、2020年1月末時点)
※Kids Duo Webサイトより引用

こちらの学童保育の特徴は、なんと言ってもオールイングリッシュの保育内容。
基本ネイティブの先生を中心に、レッスンはもちろん日常の会話等も全て英語という内容になっています。
レッスン以外の部分も、送迎や延長保育なども対応をしているので、そのあたりも保護者に安心感を与えているのではと思います。

ではなぜこの様に急速に店舗数が増えているのか?
豊富な資金力は当然のことですが、個人的には以下の二点が考えられるかと思います。

・積極的なFC展開

・英語の義務教育化

まずFC展開についてはキッズデュオのウェブサイトには一切掲載されていません。
ホールディングスのである「株式会社やる気スイッチグループhttps://www.yarukiswitch.jp)」のウェブサイトに掲載されています。

このFC制度をきちんと整備し推進していくことで、他業種の教育事業をやりたいという法人のニーズをつかみ、業績を拡大しているということが言えるかと思います。

実際、キッズデュオのFCを検討してるという経営者の方と何人もお会いしたことがありますが、かなり人気でFCの空きがないという話を聞いたことがあります。
企業が順番待ちをするくらい、現在勢いがあるのだと思います。

そして小学校での英語教育の義務教育化という流れも後押しをしていると考えます。
もちろん創業時には将来的な流れがあるということで、時代を読みながら事業をされてきたと思いますが、この小学校での英語教育に関して時代の流れが後押しをしている点は間違いないかと思います。

そして個人的なキッズデュオの物足りなさを感じる点も述べておきますと、以下になります。

・英語以外の事を学べない

・生活部分もオールイングリッシュなので、利用児が息苦しく感じる

当たり前ですが、オールイングリッシュというカリキュラムを提供している性質上、それ以外のカリキュラムを提供することは基本的には難しいかと思います。
そしてそれ以外のことを提供し始めると、軸がぶれてしまい、顧客に対して分かりづらい印象を与えてしまう可能性があります。

ですので経営的に、それ以外の顧客をある意味見限って、英語教育に熱心なご家庭にのみにフォーカスをしています。
そのため、英語以外にもご興味をお持ちのご家庭は、物足りなさを感じてしまうかもしれません。

次に、これは実際に経験しているのですが、オールイングリッシュという内容のために、通っているお子さんが息苦しさを感じてしまうという事。
実際にそういったご家庭の方が、私の経営する学童に移動して来たこともありました。
ですので、通い続けられるかどうかは、この内容がお子さんが合う合わないということが非常に重要になってくるかと思います。
この部分も、経営的にそれ以外の顧客をある意味見限って、英語教育に熱心なご家庭にのみにフォーカスをしています。

英語のみの内容に息苦しさを感じてしまうご家庭は、物足りなさを感じてしまうかもしれません。
しかしある意味、こうした大きな企業が一点集中の民間学童を運営しているところに、強さを感じます。

そして自社にある今までの教育事業の資源を生かして、結果として日本一の店舗数という結果を出しているという事も凄い所です。
興味のある方は是非ウェブサイトをご覧になってみて下さい。

【24時間営業・月額料金最高値の民間学童】環優舎

 

続きまして、民間学童保育はどこも特徴を出していて個性的な学童が多いのですが、

その中でも異色の個性を持つ民間学童を紹介したいと思います。

それがこの、吉川まりえさんが代表を務める「環優舎(かんゆうしゃ)https://kanyusha.com/index.html)」

になります。

東京都港区西麻布にて運営をしているこの学童保育ですが、大きな特徴としては「24時間営業」であるということ。
ですので民間学童の運営上の大きな縛りである、時間の縛りがありません。
利用者の方はいつでも利用ができるという安心感があり、また運営上も時間の縛りがなくじっくりと保育をすることができます。

民間学童を経営していた立場からすると、この24時間営業を実行することがどんなに難しいかが分かっているつもりです。
そのとても難しい事を実際に行っているということで本当にリスペクトをしていますし、ある意味究極の学童保育と言えるかと思います。

そして当たり前の話ですが、西麻布の高級マンションで24時間営業を行っているため、月額の保育料は基本21万円(税別)ということだそうです。
これは私の見た中では最高値の学童保育だと思います。
2006年に設立から長年に渡り運営が続いているということはそれだけ一定のニーズを掴み続けているということで、これは凄い事です。

ではここで、この24時間・21万円の学童のターゲットを予想してみたいと思います。

ヒントとしては代表の吉川まりえさんのブログ内で書かれているのですが、顧客の1/3がインターナショナルのお子さんであるとのこと。(代表・吉川まりえさんのブログ https://ameblo.jp/kanyusha/ より)

ですので土地柄、大使館や大企業の日本法人の外国籍のご家庭が多く利用しているのかなと予想しました。

もちろん、日本人のいわゆるセレブのご家庭もご利用になっていると思いますし、要するに月額21万円を学童に使っても問題ないような生活の方が多くご利用されているのかなと予想します。
ご興味のある方は、ぜひウェブサイトをご覧になってみて下さい。

【業界のトレンド①大手鉄道系民間学童4選(主に東京都近郊)】

 

ではここからは、それぞれのテーマで、個人的に民間学童を列挙していきたいと思います。
ご興味のある学童がございましたら、ぞれぞれ見て頂けましたらと思います。

ということで、まずは大手鉄道系の民間学童を挙げてみました。
御覧下さい。

◎東急グループキッズベースキャンプ (https://www.kidsbasecamp.com/index.html)」
→業界の先駆け的な民間学童保育になります。詳しくはブログ上段をご覧下さい。

小田急グループ「小田急こどもみらいクラブhttps://www.odakyu-kodomomirai.jp
→小田急グループの民間学童保育。学習に関しては、進学教室SAPIXと提携をし、そのカリキュラムを使用しています。
2021年8月現在は世田谷区を中心に、4店舗を運営しています。

◎京急グループ京急キッズファンhttps://www.keikyu-kidsfun.jp)」
→京急が運営する民間学童保育。大手学習塾の民間学童「明光キッズ」と提携し、学習カリキュラムを提供しています。
2021年8月現在、大田区に一店舗を運営しています。

◎西武グループエミフィス練馬アフタースクールhttps://emiffice.jp/afterschool/)」
→西武グループが運営する民間学童保育。
場所は西武線練馬駅構内と利便性抜群。
運営は大手民間学童のウィズダムアカデミーが運営しています。

また学童カリキュラムはピグマキッズや算盤など、様々な企業と提携し、色々な学習を受ける事ができるようです。
2021年8月現在は一店舗を運営しています。

【業界のトレンド②大手英語系民間学童4選(主に東京都近郊)】

 

◎やる気スイッチグループKids Duo(キッズデュオ)https://www.kidsduo.com)」
→業界最大手の民間学童保育。
詳しくはブログ上段をご覧下さい。

◎株式会社Kids-UPKids-UPhttps://kids-up.jp)」
→通信機器販売、飲食店、バイクショップなども運営する「株式会社P-UP World」のグループ会社。
豊富な資金力をバックに最近急速に店舗数を増やしています。
2021年8月現在は28店舗を運営しています。

◎株式会社明光ネットワークジャパンMeiko Kids e(明光キッズe)https://www.meikokidse.jp
→大手学習塾の明光ネットワークジャパンが運営する、明光キッズe。
通常の民間学童も運営していますが、英語学童も共に運営。
2021年8月現在は、5店舗を運営しています。

◎株式会社ウィザスブルードルフィンズhttps://www.blue-dolphins.net)」
→大手総合教育サービス企業が運営する英語学童保育。
本ブログでは唯一の関西圏の民間学童です。
2021年8月現在は大阪府に13店舗を運営しています。

【業界のトレンド③大手学習塾系民間学童4選(主に東京都近郊)】

 

◎株式会社明光ネットワークジャパン明光キッズhttps://www.meikokids.jp)」
→大手学習塾の明光ネットワークジャパンが運営する、明光キッズ。
学習塾としての今までのノウハウと豊富な資金で、確実に店舗数を増やしています。
また企業向けのFCも積極的に展開。
2021年8月現在は7店舗を運営しています。

◎リソー教育グループ伸芽`sクラブ(しんがーずくらぶ)https://www.shinga-s-club.jp/afterschool/)」
→名門小学校・幼稚園受験のパイオニアであるリソー教育ぐの伸芽会が運営する民間学童保育。
内容も受験を意識した学習や、ピアノやバイオリンなどの習い事にも対応。
2021年8月現在は7店舗を運営しています。

◎SAPIX YOZEMI GROUPPIGMA kids(ピグマキッズ)https://pigmakids.com)」
→予備校や学習塾を運営する、SAPIX YOZEMI GROUPの運営する民間学童保育。
運営母体のカリキュラムのノウハウを活かして様々な学習カリキュラムを提供。
2021年8月現在、直営施設2店舗を運営し、また提携施設を5店舗運営しています。

◎株式会社エー・アンド・アイ(株式会社Z会ホールディングス(出資比率100%) の完全子会社)アフタースクールワイズhttps://www.afterschool-wise.com
→ 学習塾や家庭学習提供など、総合教育グループ大手の、株式会社Z会ホールディングス傘下の民間学童保育。
上記同様に、運営母体のカリキュラムのノウハウを活かして様々な学習カリキュラムを提供。
2021年8月現在は12店舗を運営しています。

【業界のトレンド④大手習い事系民間学童(主に東京都近郊)】

 

「ティップネス・キッズ アフタースクールhttps://kids.tipness.co.jp/afterschool/)」
→フィットネスジム運営大手のティップネスが運営する民間学童保育。
フィットネスが母体のため運動カリキュラムが充実しています。
学童運営はウィズダムアカデミーがしており、2021年8月現在は4店舗を運営しています。

【独立系大手民間学童】

 

◎株式会社ウィズダムアカデミーウィズダムアカデミーhttps://wisdom-academy.com)」
→キッズベースキャンプと並び、民間学童業界の先駆け的な存在のウィズダムアカデミー。
直営はもちろんのこと、企業との連携を積極的に行い、事業を拡大しています。
2021年8月17店舗の直営施設のほかに、17店舗の他社との提携施設があります。

リックキッズ株式会社「Lickids(リックキッズ)https://www.lickids.jp)」
→私自身、ここ最近とても増えてきているなという印象の学童保育。
民間学童保育が事業の中心で、22時までの運営、送迎に関してもしっかりとやっていくという気概を感じます。
その他サイエンス教室なども運営している様です。
2021年8月現在は東京都23区内に27店舗を運営しています。

【その他個人的に挙げたい民間学童】

 

アフタースクール寺子屋https://schoolterakoya.com)」
→最後に手前味噌で恐縮ですが、私が2013年4月に創業し、2019年12月まで経営をしていました民間学童保育「アフタースクール寺子屋」を紹介させて頂きます。
現在は私は全く関係はなくなりましたが、応援の意味を込めて書かせて頂きました。

大きな一軒家の施設で、英語、書道、算盤を毎日やりながら、送迎、食事もきちんと提供するというコンセプトの学童です。
ご興味のある方はご覧になってみて下さい。
私は日本一の民間学童保育だと今でも思っています。)

以上になります。

まだまだ紹介しきれなかった学童保育はたくさんありますので、本当に民間学童は現在たくさん増えてきているという事ですね。
ご紹介できなかったみなさんはすみませんでした。

またご紹介をさせて頂いた学童保育も、私なりの解釈で比較・分析をさせて頂きました。
至らない部分はご容赦くださいませ。

最後に、もし我が施設も分析・紹介してほしい!という事業者の方がいましたら、本ブログからご連絡下さいませ。
もしかしたら追記をさせていただくかもしれません。
よろしくお願い致します!

ではよろしければ本ブログを参考にして、民間学童保育業界の研究をして頂けましたらと思います!

頑張って下さい!