保育コンサルタントの杉江です。
本当に久しぶりの更新となりましたが、今回は、
先日の2020年7/10(金)と7/17(金)に、保育園運営会社様にて行いました、「保育園リーダーシップ研修」実施のご報告で、
【保育園のリーダーに必要な8つのこと(「保育園リーダーシップ研修」実施のご報告)】
になります。
先日行った研修は保育園の園長・主任向けの研修でした。
一見学童保育とは直接は関係ないかもしれないと思われるませんが、しかし同じ保育業になりますので、学童保育でも役立つ内容があるかと思います。
活かせるものがありましたら、いいとこ取りで取り入れて頂けたらと思います。
また、約3時間の研修をコンパクトに文章にまとめたものになりますので、いつもと違うテイストになっていることをご容赦ください。
研修に参加をしているつもりでお気軽にご覧いただき、少しでも皆さんのお役に立つことができましたら幸に思います。
ではご覧ください。
●保育園のリーダーに必要な8つのこと
目次
【結論:私杉江が考える、園長・主任のリーダー像とは?「働きやすく部下が能力を発揮しやすい環境を作り、質の高いサービスを提供し続ける仕組みを作る」など8つあります】
1・働きやすく部下が能力を発揮しやすい環境を作り、質の高いサービスを提供し続ける仕組みを作る
2・園の目標・会社の目標に対し、皆が同じ方向を向ける様に、方向づけをする
3・危機の時には先頭に立ち、解決をし、危機から部下や組織を守る
4・自園における全ての責任を取る
5・従業員が安心して働き、成長を感じられる職場を作る
6・常に変革者・改革者である
7・園と運営本部の橋渡し役である
8・園長と現場の橋渡し役であること(主任のみ)
以上が私の考える保育園のリーダー像になります。
【私杉江が、園のために為にやって欲しいと思う事:「職員一人一人を尊重する(全員への公平な態度。傾聴の姿勢。年一回以上の個人面談の実施。)など多数あります】
・職員一人一人を尊重する(全員への公平な態度。傾聴の姿勢。年一回以上の個人面談の実施。)
・職員一人一人に興味を持つ(毎日全員への挨拶、雑談、毎月感謝のメッセージカードを渡すなど、見える形で感謝を伝える。)
・職員全員同じ思いで働ける職場環境を作る(園の方針、ミッション、行動規範の作成)
・職員が働きやすい職場環境を作る(ハラスメント撲滅への厳しい姿勢。悪口・陰口は許さないという徹底した態度。同僚へのモチベーションを下げる行為への指導。)
・労働環境を整える(無駄な残業、サービス残業の廃止。有給休暇の全取得、そして取得しやすい雰囲気作り。全職員の毎日一時間の休憩の取得。)
・園全体の整理整頓・清潔な職場環境づくりの徹底。
・職員のモチベーションの向上(一人一人の個性の尊重。一人一人の能力にあった配置、仕事の割り振り。仕事を任せ切る。任せた後のフィードバック。)
・職員に安心感を与える(ピンチの時には園長とともに先頭に立つ。何事にも責任は自分が取るんだというメッセージの発信。)
・自身の立ち居振る舞いの振り返り(客観的に自分を見て常に振り返り、自分の立ち居振る舞いについて厳しくチェックをする)
以上になります。
「こんなにたくさんのこと、できるわけない・・・」
「こんなの、ただの理想論でしょう・・・」
という考えもあるかと思いますが、
リーダーはこれだけのことをやるのは当たり前だと思います!
理想論かもしれないけれど、その実現に向けて毎日行動をする姿を見せることこそが、リーダーの務めだと個人的には思います!
【研修内容①:リーダーシップとマネジメントの違いを考える 。全体の方向性と働きやすい環境づくりの違いです】
では具体的に、ご自身の理想のリーダーになるにはどうして行ったら良いかを、考えていきましょう。
いきなりですが質問です。
皆さんは、リーダーシップとマネジメントの違いを、すぐに答えることができますか?
・リーダーシップとは・・・?
→全体の方向性を決めること
例えば・・・
園の目標・ミッション(使命)・保育の方向性・危機の時の対応など、全体の進むべき方向性を決めるのがリーダーシップです。
・マネジメントとは・・・?
→働きやすい環境づくり
例えば・・・
無駄な残業をなくす・有給休暇の100%取得・適材適所の職員配置・整理整頓等、皆が働きやすく安心して能力が発揮できる職場環境を作ることがマネジメントです。
園長、主任にとって、リーダーシップとマネジメントはどちらが重要か・・・
当たり前ですが、どちらも重要です!
まずは違いを理解していただくことで、リーダーとしての行動が決まってくるかと思います。
【研修内容②コーチングに触れてみよう:コーチングとは、ここ数年様々な企業で導入をされている、主に部下の育成・マネジメントを行う時に有効だと考えられている技法です】。
突然ですが、皆さんは職場で昭和時代の指導になっていませんか?
現代社会において、昭和の指導は通用しません!
令和の時代に合わせた指導方法で行うためにもコーチングに触れていきましょう!
コーチングの大枠の内容
1・部下のやる気を内側から引き出す。
→一方的な指導はしない
2・傾聴する。
→部下の話をただ聞くだけのことはしない
3・部下の内側からの答えを導く。
→答えをすぐに与えない
4・常にフィードバックを行う。
→一方的な指導をしたり、仕事を任せきりにしない
5・常に冷静に粘り強く対話をする。
→自身の感情をただぶつけない
◎大切なことは、安心感を与え話しやすい雰囲気を作っていく事
➡︎恐怖や権力でマネジメントしない
非常に大変ですし時間もかかると思いますが、これらを毎日繰り返していくことで、少しずつ部下が変わってくると思います。
【研修内容③実例:「部下がミスをした時のコーチング」 。コーチングでは、「フィードバック」というスキルで本人に「現状」を理解させることから始めます】
部下の職員がミスを犯し、報告に来ました。どうしますか?
・頭ごなしに叱る?
・嫌われたくないから叱れない?
→当たり前ですが、どちらも間違いです。
コーチングでは、「フィードバック」というスキルで本人に「現状」を理解させることから始めます。
※上司から間違いを叱責された人と、現状を理解させられた人がどのくらい行動を改善するのかの調査した結果・・・
→「現状を理解」させた方が圧倒的に改善率が高い調査結果が出ています。
ただ叱るのではなく、また無責任に任せてしまうのではなく、粘り強く関わっていくことが重要です。
【研修内容④部下がミスをした時のコーチングの際にやってはいけないこと :改善よりも自分の立場が優先になっている】
ミスの例:頼んでいた配布物に、ミスが多かったことを発見した。
リーダーA「頼んでおいた地域への配布物だけど、文字や表現の間違いが多いわね。ちゃんとチェックをしてたの?保育園名で配るのだから、こんなお知らせを配ったら私が恥ずかしい思いをするじゃない。」
上記の指導は、何が問題か・・・?
→改善よりも、自分の立場が優先になっている。
・ミスを減らすことが一番の目的です!
・改善が優先です!
以上のことをぜひ頭において指導をして行って頂けたらと思います。
【簡単なワーク①:「聴くこと」を邪魔する可能性のある思考のチェック】
あなたの心の中に「聴くこと」を妨げる思考はないでしょうか?まずは自分の思考を確認してみましょう。
自分が「よくあるな」と感じるものをチェックしてください(複数可)。そこが注意すべき点です。
□相手の話に対して、賛成・反対や間違いの指摘をすぐに言ってしまう
□原因究明の質問や状況を把握するための質問をする
□自分の過去の体験や似たケースを話してしまう
□自分の意見やアドバイス、あるいは解決策を言ってしまう
□相手の言いたいことを先回りし、結論づけてしまう
□質問しながら、自分の考えに誘導しようとする
【簡単なワーク②:自分の業務を振り返って「リーダーシップ」と「マネジメント」を整理してみましょう。」
それぞれ自身で考えてみましょう。
①日々、どのような業務を行っていますか。すべて挙げてください
② ①を、リーダーシップとマネジメントに分けてみましょう(園の目標、保育方針など、大きな方向性を決めること意外の業務は、基本的にはマネジメントに入ると思います。例えば給食の検食などは、「マネジメント」部門に入ります。)
③どちらに重心がかかっていましたか?
④今後はリーダーとして、どのようにリードし、変革しますか?
⑤今まで行ってきたマネジメントでやめることはなんですか?
以上になります。
ご自身のことを、少し振り返ることができましたでしょうか?
【研修のまとめ:人を残す一流のリーダーに】
最後に、今年残念ながら亡くなられた、野村克也さんの生前の言葉をお話ししたいと思います。
リーダー像についての考えと聞かれた野村さんが、以下のようにお答えになりました。
組織に対して
財(利益)を残すは三流
業(仕事・事業)を残すは二流
人(人材)を残すは一流
と言う言葉をお話しされていました。
ぜひ、人を残す一流のリーダーになってください!
以上。
本ブログの参考文献
藤巻幸夫著 「チームリーダーの教科書」
播磨早苗著 「保育者を育てる!悩めるリーダのためのコーチング」