保育コンサルタントの杉江です。

さて今回は、

「新型コロナウィルスの発生や大震災など、緊急の際の学童保育運営で大切な事」

について書きたいと思います。

本ブログ(著者・杉江)の具体的な信頼性は以下になります。

  • 保育士を取得後、20年以上にわたり保育事業に従事している。
  • 民間学童保育を創業し、5年間経営者として事業に携わる。(アフタースクール寺子屋 目黒区碑文谷3-1-4-16)
  • 民間学童経営者として、5年間で登録者数2名→100名、通期黒字化を達成する
  • 2011年3月11日の震災時に、公立学童保育の施設長として現場の最前線で対応にあたった。

私は2011年の3.11大震災の際、公設学童保育で責任者をしていました。
ある意味今回と似た様な状況で、現場が混乱し刻々と状況が変わる中、様々な厳しい状況にぶつかりました。

その経験がもしかしたら現在の状況に少しでも生きるかと思い、3.11の際に私が大変だった事や大切だと思った事、その経験からの私の考えをお話をしたいと思います。

と言う事で私の考える結論です。

・最優先すべきは現場職員(責任者・正社員など責任ある立場の職員)のメンタル面でのケア

・同時にトップからのメッセージ。この危機をどうやって乗り越えていくのか。そして危機に立ち向かう意義と明確な方向性の提示。

・人の応援(本部や管理職の現場応援)

・必要備品の補充

・(できれば)給与か賞与で手当ての支給

以上になります。
今回は、運営者(経営者・運営本部・事業責任者など)の方々へ向けた話となります。

では順番に説明します。

最優先すべきは現場職員(責任者・正社員など責任ある立場の職員)のメンタル面でのケア【こうした時、現場を守る事を第一優先に考えるべきと考えます】

 

私が3.11の時に現場責任者として一番感じた事。

それはメンタル面が非常に厳しかったと言う事です。

今振り返ってみても、刻々と変わる状況にとにかく毎日必死に対応していた、と言う思い出しかありません。

・震災当日、保護者の方々が次々とお迎えに来られる、その保護者様にはせめて笑顔で迎えたい。
・不安な気持ちを少しでも取り除いてあげたい。
・明日からも不安な日々を送る事になるけれど、学童では普通の日常の雰囲気を少しでも出してあげたい。

そういった気持ちで日々の対応をし、自分の不安な気持ちを押しやっていました。

しかし、内心は不安で不安で仕方がありませんでした。

そして、孤独感を感じていたことを思い出します。

ですので今運営本部にいる方、経営者の方は、現場に行き直接寄り添う言葉を掛けていく事が大切であると考えます。
無理であれば電話でも良いと思います。

現場は大丈夫か?

心配な事はないか?

足りないものはないか?

困った事があればいつでも言って欲しい。

と、声を掛け続ける事が非常に重要であると考えます。
現場は本当に大変ですし、日に日に疲弊していきます。
まずは最前線で戦う現場のリーダー、常勤職員のメンタル面のケアを最優先にしていく事が重要だと思います。

同時にトップからのメッセージ。【この危機をどうやって乗り越えていくのか。そして危機に立ち向かう意義と明確な方向性の提示が必要。】

 

これは特に、学童事業者の経営者や事業本部長など、トップの方への話になります。
今回のような緊急事態の際には現場は大きな混乱と不安に襲われます。

・今日からどうすればいいのか?

・何のためにこの厳しい状況で勤務をするのか?

・今までにない場面の連続だがこれが正解なのか?

・そもそも精神的に毎日厳しいが、自分は耐えられるか?

など、現場には様々な感情やストレスが渦まきます。
その時に、トップの方はまずは方向性を決め、学童を続ける意義や激励など強いメッセージを出す必要があると考えます。

このトップのメッセージがあるかないかでは、現場の士気は大きく違います。

メッセージがあれば、仕事の方向性に迷いがなくなり、強い気持ちで保育に臨む事ができる様になると思います。
逆にメッセージがなかったり的外れなものですと、一気に現場の士気が落ち、保育の質も落ちていきます。

ピンチの際にそのリーダーの本質が見えるものだと思います。
そしてその姿を、従業員達はよく見ています。
トップの方々には、戦いの前に強いメッセージを出される事をお勧めします。

人の応援(本部や管理職の現場応援)【緊急時は、ほぼ全ての学童保育で人手不足になるものと考えます】

 

上の二つが完了したら、次は現場の実際の応援の話です。
こうした未曾有の緊急時は、ほぼ全ての学童保育で人手不足の状況になります。
言わずもがなですが、

現場の負担は保育の人数で大きく変わってきます。

運営本部の方はまずは他の仕事は後回しにし、できるだけ人手不足の解消に努めるべきだと考えます。
しかも、上席の役職者の方などが自ら現場に入る事ができれば、現場の指揮は上がります。
そして大事にされているんだと実感する事ができ、期待に応えたいとモチベーションが上がるはずです。

こうした緊急事態の時には、他の仕事はなるべく後回しにし、出来る限り現場に入る事を私はお勧めします。

必要備品の補充。【現場は買い出しには行けません。現場で必要なものを聞き出しすぐに購入を】

 

続いて、人が入った後は必要な備品の確保に動くべきだと考えます。

当たり前ですが緊急時には必要な買い出しなども行けません。
ですので運営本部なり経営者が動き回り、現場が切に求めるものを手に入れて、提供する事が重要だと考えます。
今でしたら、マスクや消毒液など、何処かに早朝並んでも買いに行くべきだと思います。

実際にこれらのものが無くて本当に困っている現場も多々あるかと想像します。

もし用意する事ができたら、現場もホッとする事ができ、現場を守る事に集中できます。
現場を応援しているメッセージにもなりますし、何とか実行していきたいものです。

(できれば)給与か賞与で手当ての支給。【目に見える形でも労をねぎらう】

 

最後に、これも本当は全ての運営企業でやって頂きたいのですが、無事に収束し乗り切る事ができた際には、特別な手当てを出す事を検討して頂けたらと思います。

元経営者としては、緊急事態になったのだから売上や利益も落ちたのであればそんなものは出せないと、その事はよくわかります。

本当に経営が傾いてしまった場合にはもちろん不可能ですが、しかし体力のある企業には少額でもいいので出していただく事が有効であると考えます。

その手当てで従業員は大切にされている事を実感できますし、これからもこの会社のために働こうと思ってくれるはずです。

言葉はもちろん大切ですが、実際に目に見える形で苦労に報いる事も非常に重要であると考えます。

まとめ【現場を最優先に、全てのことを考える。】

 

繰り返しになりますが、こうした危機の時には現場を守る事がとにかく一番大切です。
現場を守る、すなわち現場の先生方を守る事が危機を無事に乗り越える唯一手段であると考えます。

現場のメンタルが保育の質に影響を及ぼします。

この様な危機的な状況でも、学童に来るしかない子ども達の為にも、まずは現場の先生方を守る事に注力するべきだと考えます。

最後に、もう十分に頑張っていらっしゃる事は分かっていますが現場の先生方、どうかくれぐれも体調には気をつけて頑張って下さい。