保育コンサルタントの杉江です。
さて今回は、
【民間学童経営】民間学童で売上を上げ利益を残し、黒字化する具体的な方法
というテーマでお話をしていきたいと思います。
本ブログ(著者・杉江)の具体的な信頼性は以下になります。
- 保育士を取得後、20年以上にわたり保育事業に従事している。
- 民間学童保育を創業し、5年間経営者として事業に携わる。(アフタースクール寺子屋 東京都目黒区)
- 民間学童経営者として、5年間で登録者数2名→100名、通期黒字化を達成する
- 保育コンサルタントとして、5年で50件以上のコンサルティング/アドバイザー/研修講師を務める
以前のブログ
【保育施設を経営するということ】保育事業を経営する時に大切なマインド
では、経営の大前提のお話についてや経営者のマインド的なお話をさせて頂きました。
今回はより具体的に
「どのように売上を上げて利益を残し、黒字化していくのか?」
という視点からお話をしていきたいと思います。
以前のブログとかぶってしまう部分もあるかと思いますが、より具体的なお話をしていきたいと思いますので、今から学童保育や、保育/教育業界の起業をお考えの方は、ぜひ参考してみて下さい。
目次
【黒字化をしなければならない理由】会社を存続させることが経営者としての最大の使命
まず前提として、なぜ黒字化をしていかなければならないのかをお話をしたいと思います。
会社というのは、基本的には永続的に継続をしていく事が前提です。
仮に倒産となってしまった場合、顧客、従業員、取引先などさまざまな所に迷惑がかかってしまいます。
特に保育事業というのは預けているご家庭の生活に直結する事業です。
もし仮に倒産をしてしまった場合、ご家庭にとっては預け先がなく仕事に行けないということになり、本当に迷惑がかかってしまいます。
ですので学童経営者としての最大の使命は、会社を倒産させない、存続をさせていく事が大きな使命であると考えます。
その存続をしていくためには、「売上」を上げ、無駄な経費を削減しながら「利益」を常に残す必要があります。
ですので経営的に「黒字化」というものは常に求められるということになります。
【民間学童保育の黒字化で重要なこと】売上の事だけを考える
では続きまして私なりの具体的な黒字化についての方法をお伝えします。
民間学童保育の経営において最優先で考えなければならないこと、それは「売上」を上げることです。
具体的に売上を上げることとは、まず大前提としては、質の高い保育、保護者対応、その他利便性ある付帯サービスを常に行っていく、というこが大前提になってきます。
いくら小手先の技を使い会員数を増やしていっても、この土台がなければすぐに辞めてしまうことになります。
ですので、経営者としてはまずはこの大前提は必ず努力をして下さい。
学童経営の前提のお話については、
を御覧下さい。
その上で、
◎新規会員数を増やしていくこと
◎現在の会員を辞めさせないこと
◎新たなサービスの開発
この三点が非常に非常に重要になって来るかと思います。
順番に説明をします。
◎新規会員数を増やしていくこと
まずは経営者の方はこの新規会員獲得にほぼ自身のリソースをつぎ込んで下さい。
そう断言できるくらい、この三点の中でも最も大切であると考えます。
これは民間学童に限ったことではなく、すべての業界に当てはまることだと思いますが、
新規の顧客を獲得できない事業は生き残ることが難しいと思います。
具体的に、
・ウェブサイトの充実
・説明会、体験会の随時開催
・ポスティング、チラシ配りの実施
・保育園、幼稚園への直接営業
以上の4点を随時手を抜くことなく行っていくことが重要です。
時には気分が乗らなかったサボりたくなる時もあるかと思います。
しかしこれは私の実体験から言えることですが、これらの行為をサボった瞬間に赤字への転落が始まります。
ですので経営者としては、絶対に手を抜くことなく行って頂きたいと思います。
民間学童保育の集客については、
を御覧下さい。
◎現在の会員を辞めさせないこと
次に考えなくてはならないことは、「今いる会員を辞めさせないこと」です。
せっかく入会してもらった会員に、すぐに辞められたら結果売上減に直結をしてしまいます。
ですので、売上を伸ばすことと共に、この辞めさせないことも大変重要になってきます。
では具体的にどうしたらよいか?
以下になります。
①日々の保育、保護者対応、サービス提供に手を抜かない
②上級生に長く通ってもらう
③常に要望を取り入れ、新しいサービスやルールを取り入れる
以下、具体的に説明をしていきます。
①日々の保育、保護者対応、サービス提供に手を抜かない
まず大切なのは当然、日々の保育や保護者対応、サービスの提供です。
「毎日子ども達が通っていて楽しいと思ってもらうこと、保護者の方がお迎えに来てホッと安心できると思ってもらうこと、そして良いサービスを提供してもらっているなと思ってもらうこと。」
これに尽きるかと思います。
この基本を怠り、手を抜いた姿が見られた習慣に、学童の退会の連鎖が始まります。
ですので当たり前ですが、これらは絶対に手を抜かないで下さい。
②上級生に長く通ってもらう
続いてこちらも重要になってくるかと思いますが、上級生に長く通ってもらう、辞めさせないというお話になります。
学童保育をやめる原因の多くが、「上級生になり保育が必要となくなり、辞めていく」というものがあります。
学童が嫌になって辞めていくわけではない、むしろ楽しかったのだが辞めざるを得ない。
これは非常にもったいないことですよね。
ですので、上級生にもこのまま通ってもらうために、特別メニューを用意するなど、理由を提供していくことが重要であると考えます。
私が行っていた具体的なことは以下になります。
・上級生だけの、特別割引料金の料金表(表には出さない、特別料金表)
・勉強レッスンの上級生のみの特別コース
以上、よろしければご参考にしてみて下さい。
③常に要望を取り入れ、新しいサービスやルールを取り入れる
これも私は様々な所で語っておりますが、経営者としてはお客様(ご家庭)からの要望やご意見に常にアンテナを張り、取り入れていく覚悟を持つことが重要だと考えます。
これは想像以上に厳しい思いをすることになりますが、自身の考えを柔軟に持って、ご指摘やご意見を真摯に受け止め、改善を常に重ねていくことが重要です。
きつい作業になりますが、こうすることで自施設のサービスの質が磨かれ、質の高い魅力的な学童保育になっていきます。
これは間違いありません。
「利用者(子ども達や保護者の方々)に育てていただく」
という意識で経営に取り組まれるのが良いかと個人的には思います。
起業をお考えの方は、ぜひこのことを頭に入れておいて頂くことをお勧めします。
◎新たなサービスの開発
続いて重要になってくるのが、この新たなサービスの開発です。
これは具体的にどういうことか。
開業後利用者から様々な要望が出る中で、これらを敏感にキャッチし、実践できるものがあったらすぐに実践をしていく。
すなわち、それが新たなサービスの開発につながってきます。
ちなみに私の過去の経験からの具体的な新サービスの以下になります。
・朝延長の拡充(朝8:00からを7:30からに拡充)
・登録児の下のご兄弟のお預かり
・プレ保育(年長さんのお預かり)
・英語レッスンの上級者コース開設
などがあります。
よろしければ参考にしてみて下さい。
【経費削減より大切なこと】起業時にランニングコスト、特に家賃と人件費をよく考える
では続きまして黒字化を目指す時に大切だと考えられること、経費削減についてのお話に移りたいと思います。
結論から言いますと、この学童保育事業は開業後に経費削減をすることは殆どできないため、起業時にどれだけランニングコストを減らしていけるかが大切になってきます。
このことを次に詳しく説明をします。
学童保育を開業後、月々かかってくるランニングコストは、個人的な実感として8割〜9割は「家賃」と「人件費」になります。
ですのでそこを削っていくというはほぼ不可能に近く、人件費の部分を経営者ご自身が請負い、経営をしながら現場に出るというくらいしか大きく削減する方法は無いと考えます。
そのため起業時において、まずは物件の家賃をしっかりと考え、なるべく家賃を抑えた物件でスタートをすること。
そして最初から人を雇わずに、経営者自身がスタッフとして全て行うくらいのお気持ちでスタートすることをお勧めします。
潤沢な資金で事業をスタートをすることはまずありえないと思います。
スタート時にイニシャルコストをなるべく抑え、資金が尽きる前に何とか売上を上げて黒字化を目指す。
経営的に、この考えで事業をスタートをして頂けたらと思います。
【開業後の経費削減をおまけ程度に考える】経費削減はあくまでもおまけ
では、最後に開業後の経費削減のお話です。
開業後、全く経費削減はできないのかといいますと、少しはできるかと思います。
私が実際に開業後に行った経費削減の例は以下になります。
・電話回線・ネット回線を、料金が安くなる業者へ変更
・光熱費の支払先について、割引率が高い業者へ変更
・業務用洗剤や石鹸などの業務用備品を、安いブランドに変更
・口座引落の金融機関を手数料の安い業者へ変更
などが上げられます。
これらは一つに数百円から1,000円くらいの削減にしかなりませんでしたが、やらないよりはマシかという程度に考えていました。
個人的にはこれらに時間を使うのであれば、ポスティングをしたりブログを更新したりと、売上アップに繋がる行動をとったほうが良いかと思います。
タイトルにもありましたが、あくまでも「おまけ程度」で考えてもらえましたらと思います。
【余談】黒字化達成後、少しでも油断したら赤字転落します
最後に余談を少し。
私自身の学童経営者時代のお話です。
経営者時代、私は何とか頑張り5年かかって年次で黒字化を達成しました。
その結果どうなったかといいますと・・・翌年はしっかりと赤字に転落をしてしまいました。
ですので、こちらをご覧の皆さんには、私と同じミスを絶対にして欲しくないと思いお伝えをしておきます。
黒字化達成後は絶対に油断せず、更に売上げアップの取り組みを行って下さい!
以上、過去にしくじった元学童経営者からの、実感のこもったお願いでした。
この私の失敗についての詳しいお話は、
【元・民間学童保育経営者の恥ずかしい失敗を公開!】開業・運営・経営でしくじったことを具体的にお話しします。
を御覧下さい。
以上、黒字化にするための具体的なお話をしました。
当たり前ですが、黒字化を達成するのは簡単ではありません。
しかし、事業を経営するに当たり、絶対に達成しなくてはならないことです。
黒字化達成まで、頑張って下さい!